マルシンのガスリボルバーは、近年再販するたびに何かしらのバージョンアップが行われている。2024年版ではコルト アナコンダもかなり進化した。
結論から言えば2024年版は、ただ一点のチューニングを行うだけで最高に使えるガスリボルバーになるポテンシャルを秘めている。
2010年からリボルバー貸切戦を何度も行っていた時は、8mmアナコンダ6インチが中心だったが、その後6mm化で性能が急落してしまい、自分としてはただのコレクターアイテムと化していた。
しかし2025年にタナカ50m狙撃チューンの流れから、ふと共通のウィークポウントを突き止めてアナコンダを実用レベルにチューニングできたので記しておきたい。
コルト アナコンダ (近年版) 新旧テスト機 ●初速はすべて0.2gBBで計測
2013年 6インチ ステンレス 初速85m/s(28℃) ※初期アルミシルバー弾頭
2019年 4インチ Wディープブラック 初速73m/s(25℃) ※カッパーヘッド弾頭
2022年 6インチ ステンレス ホーグタイプ 初速77m/s(25℃) ※刻印のリアル化、新型グリップ
2024年 4インチ ステンレス ホーグタイプ 初速60m/s(28℃) ※新Xカートパッキン、レバー式可変ホップ、マズルネジによるバレル固定
▼2024年の1月にはサンプロ外部ソースにより冬場でも安定して使えることを確認。写真には居ないが、特にタンクが小さい機種は化けるので面白い。
これは構造上タナカ・ペガサスには出来ないことなので、リボルバーフリークとしては頼もしい存在。
2024年のアナコンダは大幅に改良されたのだが、いまいち評判が上がらないというか、前より良くなったという声は聞いたことが無い。
確かに、初速が高くもなく飛距離は伸びないし、弾は0.25gであっても左右に散る不安定さで、従来のアナコンダと何が違うんだ?と最初は思った。
しかしリボルバー共通の弱点である、シリンダーギャップならぬ「インナーバレルギャップ・中心軸のずれ」を補正チューンすることで、タナカ同様に命中性能が上がることが分かった。
▼チューニングしたのはインナーバレル内側の再・面取りと研磨のみ。2024版に限らず旧モデルでも多大な効果。8mm版にも効くと思われる。
旧モデルは分解ついでにアルミ製フォーシングコーンも研磨しておくとトリガーやハンマーの引きが少し滑らかになる。
2024版はメーカーが確実に今までの問題点を潰してくれたのだが、あと一歩の設計が惜しい。それがインナーバレルギャップである。
問題は、弾が突入する部分の面取りが甘いということ。ここにBB弾がぶち当たるため、乱回転して上下左右に飛んでいく。ほんの0.1mm未満の世界だと思う。
インナー内側の面取りをもう少し「深く」「緩やか」かつ「滑らか」にすることで安定性が格段に向上する。
これをやって初めて「抜弾抵抗の低い新型Xカートパッキン」と「板バネ抑えの可変ホップ」の恩恵を感じることが出来た。同じバレル施工をした旧タイプと比較しても50m先での集弾安定性が上がっているのである。
さらにはこのチューンだけで 2024年版4インチ ステンレス ホーグタイプの初速が66-67m/s(28℃)まで上がるという現象もおきた。乱回転で初速まで削られ、まるで当たらない銃になっているのは非常に惜しい。
初速に関しては新旧やバレル長でバラつきがあるものの、60m/s台でも40m-A3に当たるようになると、特に不満も感じなかった。
なお未だ解消できない問題はある。それは位置が遠すぎる躓きホップであり、これはフォーシングコーン単体を動かす仕様ゆえに改良が難しいかもしれない。
それでも50m-A3の的を狙っていくポテンシャルがある。6mmアナコンダは初版の荒れた弾道を見た時から諦めの境地だったが、わずかなチューニングでここまで変わるとは…
タナカより良いのは、板バネでHOPパッキンを抑えた点ではないかと思う。結果的にタナカほどの安定性は出せないのだが、それでも40m-A3を狙って当てられそうなレベルまで命中性能を改善できている。さらに50mまでも射程圏に入るほどの安定感がある。
推察するに、8mm時代はインナーバレルギャップをそれほど意識する必要が無かった。弾は0.35gもあったし、直径が大きいのでギャップによる乱回転の影響もさほど出なかったのであろう。
ところで今回のように40mを当てて50mまでチャンスを狙えるようなリボルバーは、電動ガンやスナイパーの射程と同等であり「定例会スペック」と考えている。装弾数が少ない点だけは除いて。
そしてこれは「リボルバー限定戦」にはオーバースペックかもしれない。背中を取り合うゲームに50mもの射程は要らないのである。
しかし冬場になるとタナカもマルシンも、通常ガスではものすごく非力化するので「リボルバー戦スペック」に戻る気がする。その境は気温20度ぐらいだと思う。
なお先述のとおり、マルシンについてはCO2外部ソース化によって年中「定例会スペック」のまま遊べるということになる。
これは、ロマンと理想の詰まった最高のエアガンではないだろうか? 再びアナコンダでフィールドを駆け巡る日が来たようだ。