電動ガンのメンテナンス方法

メンテナンス

電動ガンは「ノーマルの特性」というものを把握しておけば、無用な内部チューンを行わなくても済むので、今回はその点について触れておきたい。
メカ好きな方は、積極的にバラしてパーツを組んでの試行錯誤を繰り返すと思うが、私もかつて、電動ガン黎明期には相当に試行錯誤したものだった。当時もさまざまなパーツが販売されており、組んでは壊し、ある程度、納得のいくところまでやってみたつもりである。しかし、内部チューンはコストがバカにならない上、基本的にはバランスを崩し、必ずといっていいほど電動ガンの寿命を短くする。

ゲームで使っていて、以前よりも何だか性能が落ちた気がすると、チューンアップでカバーしたくなる、という心理が働くのも当然だが、まずは基本事項をおさえているかどうかを一度確認していただきたい。とはいえ、チューンそのものを目的とするのなら、本編は無用な話である。このコーナーはあくまで「ゲーム使用前提」で、「出来るだけ長く愛銃として所有する」ための方法をいくつか紹介している。なお、その最高条件は「ノーマル」で「メンテナンス」を欠かさない事となる。

さて、電動ガンに下記のような症状が現れたとき、大抵はメンテナンスを行うことで性能が回復する。それでも関連チューンナップをされたい方のために、参考事項を掲載しておこうと思う。

【症状1】 前回使ったときよりも弾道が乱れる
最近インナーバレルはクリーニングしただろうか?意外に忘れがちだが、毎ゲーム終了ごとに行うべきメンテナンスである。取扱説明書にも書いてあるが、クリーニング棒に少し水を付けたガーゼを付け、軽く掃除をしてやるだけでいい。これにより大抵、弾道は元のように安定する。
これを放置しておくとホコリや砂で弾詰まりを起こし、メカボックスをクラッシュさせかねないので、注意すべきポイントだ。

◆チューンナップパーツ「精密バレル」について
社外パーツとして、タイトバレル、精密バレルなるものが多く出ているが、ゲームで使うのならノーマルバレルとほとんど変わらない。多少、初速の上がる効果はあるかもしれないが、必ず弾道が安定するわけではなく、正直必要性の感じられないチューンである。むしろ、弾を選ぶうえ、インナーバレル内部の汚れが早くなる点で、総合的にはデチューン(劣化チューン)ではないかと思ってしまう。初速は落ちても、弾道の安定が期待できて、汚れの許容範囲も広いルーズバレル(純正の6.08mm以上の内径仕様)のほうがお勧めだ。
その他、ノーマルの真鍮バレルは、経年変化でサビが出てくるという問題もあるので、それを嫌ってテフロンコーティングされた高級品を装着するという考え方もある。しかし材質が違えど、メンテを怠れば同じことである。上記でインナーをクリーニングしたら、バレルの外側もクリーニングしてやるか、シリコンオイルを塗る、コンパウンドで磨くなど、ノーマルにも手入れの方法はある。

【症状2】 セミオートの回転が遅くなった気がする。
バッテリーはいつ購入したものだろうか?特にニッケル水素バッテリーの場合、使用を始めて1年以上たっている、または放置期間が長かった(1ヶ月以上)のなら、眠っているか死んでいる可能性がある。2~3回充放電を繰り返して、元の回転速度まで上がらないなら、交換したほうがよさそうだ。
バッテリーは状態が目に見えないため、管理が非常に難しい。そのためにさまざまな機器が用意されているわけだが、バッテリーの劣化には気づきにくいものである。とくに小型・大容量のニッケル水素バッテリーは管理や扱いが難しい部分があるので、よく勉強しておく必要がある。
管理が一番ラクで、なおかつ最大の出力・レスポンスを得られるのは、実はリポバッテリーである。

【症状3】 久々に使用を再開したとき、弾道が乱れる。
電動ガンのピストンは、グリスで気密性を保っている。とくに冬季など気温が低いと、最初はグリスが固まっていて一定の気密性が保てない場合がある。そのために最初のうちは弾道が乱れたりする。しかし100発以上連続して撃っていれば安定してくるはずだ。これはピストンの作動熱でグリスが軟化するためと考えられる。車のエンジンと同じで、オイルが行き渡るまで(有効に働くまで)多少の暖気運転が必要ということである。

◆チューンナップ例
上記の問題を改善する、つまり使用再開時に初弾から安定を求めるには、「ピストンヘッド」や「シリンダー」の交換が考えられる。後方吸気型のピストンヘッド(ペンタヘッド)などは純正のようなグリス主体ではなく、あくまでOリング主体による気密保持であるため、エア吐出量が安定し、着弾地点の集弾性がアップする効果もある。

しかし、たったこれだけのパーツ交換でも懸念すべき問題がある。
1. ピストンヘッド部だけ気密性を上げると「摩擦・発熱量の増加」「耐久性の低下」につながる弊害がある。ヘッドを交換してフルオートで撃ったあとに、シリンダー部分が熱くなっているようなら要注意だ。セミ・バースト多用向けならこのチューンも悪くない。

2. ノーマルは給弾時に前方からエアを吸い込むためBB弾を引っ張り上げる効果がある。それが失われるということは、特に連射時の発射がまばらになる可能性がでてくる。

3. 万が一弾詰まりの際にはエアの逃げ場が無く、メカクラッシュの危険が高い。つまりピストンが途中で停止したまま、無理にギヤが回り、プラスチックの歯を削ってしまうのだ。

ノーマルはもともとエアが逃げられるように出来ており、メカを守る安全のバッファーがある。要するに最初からエアーが漏れるように設計されていて、恐らく80~90%のエアーで弾を安定して飛ばすという、非常に考えつくされた設計になっている。

メカボックス組み立て時の注意点「グリスの種類」

メカボックスを組み立てるときは、グリスの種類と付ける場所を間違わないように注意する必要がある。東京マルイでは、高粘度グリスとシリコングリスの2種類を使用しており、高粘度グリス(赤ラベル)は各ギヤと軸受け用、シリコングリス(青ラベル)はピストン内部用となっている。
マルイ純正メンテナンスグリスを使うのが一番良いかもしれないが、ある程度タミヤのセラグリスHGなど代用できるものがある。メカボックス内はプラスチックパーツもあるため、基本的に機械用グリスは使わない方が良い。

シリコンメンテナンススプレーは別物

メンテナンススプレーと呼ばれるサラサラのシリコンオイルも発売されている。これは一時的な潤滑を目的とした粘性の低いオイルであり、ABS樹脂のクリーニング、ラバーやOリング類の湿潤、ハンドガンのスライド・ハンマーなどの接触部分に使用するものである。いかんせんすぐに飛んでしまうので、電動ガンのメカボックスには基本的に使用しない。油膜が切れると、最悪ピストンの途中停止=ギアクラッシュとなり、かといって油膜を切らさないためにシリンダーにマメにオイルを吹くと、こんどはインナーバレル側にオイルが飛び、結局は発射性能を落とすことにもなってしまう。

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