先日、ARES G36C を購入したのは良いが、既存のNIMHミニ8.4Vバッテリーがきれいに収まらない問題があった。そのため、必然的にLipoバッテリーを導入することにした。随分前に、マルイ MAC10でLipo内蔵のカスタムを行い、その鋭いレスポンスに、もはや手放せなくなった感のあるLipoバッテリーだったが、フルサイズ電動ガンでは初めての導入になる。ただ以前、次世代M4用にテストで借りたことがあり、同じくレスポンスの鋭さは既に体感済みである。
LipoやLiFeバッテリーは現在、主に電動ラジコン用で販売されており、膨大な数のサイズや容量、出力の違いがある。まず悩むのは、一体どれにすれば良いのか?という点であり、初めての方は絶対に悩むポイントであろう。今まで、バッテリーのサイズなどで悩むことは無かったものだが、電動ガンにとってはLipoやLiFeはまだ「次世代」バッテリーの段階であり、現時点では自分で選んだり、事故防止のために扱いをしっかり学んでおく必要がある。
しかし難しく考えていても始まらないので、挑戦してみることをお勧めしたい。
LiFeバッテリーはまだ高価だが、Lipoはだいぶ値段もこなれて、入手しやすくなった。選択方法については、同容量であれば、今までのバッテリーよりサイズが小さくなっているため、極論で言えば「1.サイズ」「2.容量」「3.コネクター」の3点で決めてしまえば良いと思う。電圧は普通(ノーマル電動ガン)なら、Lipo 7.4V、LiFe 6.6Vを選択するのが普通である。どちらも、標準の8.4Vより低いように見えるが、実際リポは8.4V程度の電圧を出力するので心配はいらない。また後に触れるが、出力の係数はとりあえず20C以下が無難であろう。そこで、今回は比較的評判の良い、enRoute (エンルート) リポバッテリーに絞って検討してみた。
1. サイズ
NIMHのミニバッテリーは実測で 108×35×18 (mm) となっていたので、これより小さいものを選べば良い。
今回選んだのは、7.4V 1800mAh 91×30×17 (mm) となり、ちょうどNIMHのセル6本分のサイズに相当する。
その他、候補に挙がったのは、
7.4V 1300mAh 70×34.5×15 (mm)
7.4V 800mAh 102×20×12 (mm) などがある。
2. 容量
そのまま電動ガンに収納できるサイズの中では最も容量が大きかった1800mAhをセレクト。今でもM14などで使っているNicdラージ 1300mAhと比べると、この数年でバッテリーはどんなに進化したことか。ゲーマーとしてはうれしい進化である。M14などに使えば、相当な軽量化になる。
さて3点の中では、「3.コネクター」が一番難点で、一部、電動ガン用も市販されているものの、種類の豊富なラジコン用では、全てが電動ガン(ミニコネクター)とは異なる仕様となっているのがネックである。例えば、今回セレクトした、Enroute 7.4V 1800mAhでは、ラジコンでも主にレース用の「2Pコネクター」が標準であり、当然そのままでは使えない。変換コネクターも売っているが、ラージバッテリーサイズ用に限られる。しかし「バラ売りのミニコネクター」と、「ニッパー、電気ペンチ」があれば、カンタンにミニコネクター仕様にも出来る。次に手順を記載したので、挑戦してみよう、という方はご参考いただきたい。
◆リポバッテリーの取り扱い 注意事項
Lipoは充放電において必ず注意すべき点がある。充電に関しては、バランスコネクターによるセル個別の管理が出来る充電器が必須といっても良い。こちらは、コンピュータに任せておけば基本的に心配はない。
だが、放電に関しては大いに注意しなくてはならない。撃っていて回転が落ちたらすぐに使用を止めるという注意が必要である。何しろ接続間に挟んで使う、放電リミッター(3000円程度)が売られているほどで、放電のしすぎによるバッテリーパックの膨張には注意する必要がある。
▼EAGLE Lipo フェイルセーフ・カットオフシステム
リポが過放電にならないための安全装置。コネクター間につなぐだけのカンタン接続!
Lipoバッテリーの出力について
LipoやLiFeでは、1800mAh 20C など、後半に出力の係数が記載されている。これは、1800×20÷1000=36A(アンペア) のように計算できる。この数字がどれほど高いのか、また負荷をかけるものなのかは、正直テスト段階ではあまり実感はなく、実際回してみるとレスポンスが10%増し?くらいで、標準ヒューズにも問題はない。電動ガン用に市販されているのは1200mAh 20C程度であるが、1800mAhでも特に問題は無さそうである。ただし、ゲームで連続使用するとどうなるのか、何発ぐらい発射できるか、など近々確認したいと思う。なおリポに限らず、基本的にゲーム時にはヒューズの予備などは持っていったほうが良い。
リポバッテリー 実装インプレ
コネクターの換装後、早速 ARES G36C に接続してみたところ、やはりNIMHよりもレスポンスがワンランク上がった。その場で入れ替えて試すと違いが良く分かる。フルオートはもちろんのこと、セミオートのキレは爽快で、これまでの電動ガン感覚、つまり発射までのタイムラグがほとんど払拭される。これなら存分に、セミオート戦なども気持ち良く出来るに違いない。次世代電動ガンでもテストしてみた。こちらも上々で、スタンダード電動ガンとも遜色ない、トリガーレスポンスを得られる。新しいパワーソースはますます、ゲームを楽しくさせてくれそうである。
コネクター変換作業 手順
エンルートのリポは2Pコネクターであったため、ここでミニコネクターへ換装するための手順を紹介。
▼まずは、1年半も生きながらえている NIMH と リポバッテリー のサイズ比較
ニッケル水素バッテリー = 108×35×18 (mm)
リポバッテリー = 91×30×17 (mm)
リポのほうがエッジがたっているが、ニッケル水素の両側の半円部分を切り落としたぐらいの幅であり、実装には全く問題がない。
東京マルイ(M4SOCOM→OK AK74MN→OK G36C→OK)ARES(G36→OK)
▼コネクター換装 1・・・カット
まずは、2Pコネクターの根元をニッパーで切って、ワイヤーストリッパーで5ミリほど皮をむく。ショート防止のため、片側ずつ作業したほうが良い。さすがに大電流が流れることを想定しているのか、電線が非常に太くて、3〜4ミリ程もあった。
▼コネクター換装 2・・・ミニコネクター取り付け
今回使用したミニコネクター。標準の2Pコネクターはラジコンの中でもレース用であり、パンチ(ダッシュ)力を得るために接触面積が広い仕様である。もちろん大電流を効率的に流すためだ。しかし、今回あえてミニコネクターにしたのは、既存の電動ガン側をいじらなくて済むことと、コネクター自身で出力を絞らせる意味がある。メカボックス側のコードはLipoバッテリーのコードより細いので、どうみても同量の電気は流れないことが推測される。つまり、このLipoに関しては本来のバッテリーのフルパワーはノーマル電動ガンでは出ないし、出す必要もないという観点である。
▼まず、ピンにコードを挟むが、このとき通常ならコードの皮を一緒にカシメる。しかし、それをやると、このコードの太さではコネクターに収まらなくなるため、電線部分のみでカシメを行った。そのため、あまり力を入れて引っ張ると、外れてしまう可能性はある。通常の接続ではコネクター自体を引っ張るので、問題は無いはずだ。それを嫌う場合は、少なめのハンダでくっつけてしまうのも手である。そして、ツールのギボシ部分(先端)を使ってカシメる。太い電線はミニコネクターのピンにはギリギリのサイズだった。写真は、カシメ完了の図。
▼コネクター換装 完了
カシメ完了後は、コネクターの表裏をちゃんと確認して、パチッとロックするまで差し込む。横のMIMHのように完成品とよく見比べながらやれば、間違いは無い。そのあと、もう一方のコードにピンを取り付けて、同様にセットすれば作業完了。
▼使った工具はこれだけ
ニッパーと圧着ペンチ(複合タイプ/ギボシ端子圧着+ワイヤーストリッパー)。なお、圧着ペンチにニッパー機能もついていたことに後から気づいた…
→電動ガン リポバッテリー の取扱い リポの特長 次のレビュー記事 (vol.2)